記者の戦いー上南戦ー⑥(7月8日(日)☀)

 三日間という長きに渡る上南戦もついに終わりを迎えた。体育会にとっては最大の行事である。私は取材班として同行したわけだが、なにぶん出不精の私にとって、屋外で激しい運動ができる彼ら体育会の人間たちを見るとよくもまあ大学生にもなって部活スポーツに熱心に取り組むことができるものだと思ってしまうのが率直な感想であった。私にはとてもじゃないがそんな真似はできない。私も高校時代には確かに屋外スポーツの部に所属していたものだが、今考えてみれば当時の私はよく毎日朝6時に起きて満員電車に揺られながら高校に行き、部活をしていたものだと思う。当時の私に、現在の私が堕落の限りを尽くし、腹にぜい肉を蓄えている事実を伝えたらどんな顔をするだろうか。呆れられてしまうかもしれない。どうしてこんなことになったのか。何が私をダメにしたのだろう。なんだか書いていてため息が出そうになるので話題を変えよう。上南戦の話をする。

 結果としてはアウェーの地に乗り込んだ我らが上智大学の勝利で大会は幕を閉じた。大変喜ばしいことだし私も同行した甲斐があった。中でも私がカメラマンとして参戦したラグビーの試合は壮観だった。71-0で圧勝したということもそうだが、大雨が降りしきる中戦い抜いたという事実に注目したい。私は正直に言うと大雨の土のグラウンドは嫌いだ。自分が選手なら絶対出たくないからだ。しかしながら前日に同輩に撮影能力について褒められていたこともあり、そのときの私は撮影意欲にあふれていた。私は傘を差しカメラ片手に気分よくグラウンドの土を踏みしめた。いい写真を撮りたい、その一心でグラウンドを駆けずり回る選手たちを追いかけた。いい写真を作るには様々な角度で撮らなければならない、ピントがブレないように被写体以外のものが写りこまないようにしなければならない、そんなことを考えながらグラウンドの外周をぐるぐる周りながら撮影していた。いわゆる過集中というやつだろうか、撮影以外のことに目がいかなくなってグラウンドに接近しすぎたこともあった。あの楕円型のボールが飛んできてはっとしたのを思い出す。今思えばなかなか危ないことをしていた気がするし、チアリーダーの太ももなどに目もくれずその間を横切るように走り回ったので、周囲にいた人々には迷惑をかけてしまったかもしれない。この場を借りてお詫びしておく(届かない声)。しかしながらその代償として自分でも満足のいくようないい写真が撮れたという自負がある。よく大雨の中こんな写真を撮ってきたと同輩たちにも軒並み好評だった。このときばかりは一瞬ではあるが本気でカメラマンを目指そうかとすら考えてしまった(なんとも単純で浅はかな…)。

 しかし、その思いは翌日に一挙に消え失せてしまう。卓球の撮影を行った時のことである。このとき私が使用したカメラはラグビーのとき同輩から借りた、彼が所有する高価なカメラではなく、局で所有するカメラだった。ズームがあまり効かないので接近しなければ良いアングルで写真が撮れないし、肝心なスマッシュの部分で被写体の手元がうまく捉えられず、個人的には不完全燃焼の出来だった。「やはりいい写真はいいカメラか…」これをしみじみと感じてしまった。いいカメラはなかなか高価なもので、到底私が手を出せる金額ではない(節制すればいいが酒やタバコを止められる気がしないし無理だ)し、カメラの他にもいいレンズが必要となってくる。これらを合わせれば高卒公務員の初任給くらいかかってしまう。そう思った瞬間いきなり冷めてしまった。結局お金である。持たざる者に勝機などありえないのだ。つらい人生…。一瞬だけ夢を見させて資金問題で一気に冷めさせてしまうという資本主義の闇を垣間見た上南戦であった(もう一度言うが節制すれば少しはマシになるんだよなあ、まあ無理なんですけど)。

 

(ねるねるねるね)