起業家上智生にインタビュー 「MIKIKOいけばな教室/東京セルフネイルサロン」

就活のために資格を取る、語学留学に行く、インターンシップに参加する…。多くの大学生にとって就活は、将来のことを考える上で最も身近な話題だ。そんな中で、あえて就活ではなく「起業」という選択肢を選んだ上智生がいる。
「就職してからの起業ではなく、学生起業をしたかった」そう語るのは、御茶ノ水駅からほど近いところで「MIKIKOいけばな教室/東京セルフネイルサロン」を経営するMIKIKOさん(文史4)だ。
MIKIKOさんはカナダの高校を卒業後、本学史学科に入学する前にカナダの大学に在籍していた。そこでビジネスのコースを専攻していたことが、起業を志したきっかけだ。「友達にも起業している人が多くいて、憧れがあった」と話すMIKIKOさん。もともと史学にも興味があったことから本学では史学科に入学したが、その後もビジネスに関する開講科目は意識的に受けるようにしていたという。2年生の時には大学の授業と両立させながら夜間学校に通い、ヘアメイクとメイクアップアーティストの資格を取得した。
いけばな教室とネイルサロンという不思議な取り合わせで営業しているこの店のコンセプトは「可愛くなりたい人が、今すぐ可愛くなれる場所」。新御茶ノ水駅・小川町駅A7出口より徒歩0分という好立地にあるこの場所では、MIKIKOさんおすすめの紅茶やお菓子を楽しんだり、好きな音楽を流してもらったりしながらいけばなやセルフネイルを体験できる。内装にもこだわり、ピンクを基調とした可愛い空間だ。フリーWiFiも完備している。

MIKIKOいけばな教室


「MIKIKOいけばな教室」では、草月流いけばな師範であり、毎年高島屋にて行われる草月流いけばな展への出展や、アートイベントSICF19・原宿デザインフェスタギャラリーでの展示の開催・東京ドーム関連のいけばな体験イベントも行っているMIKIKOさんのレッスンを受けられる。
教室生が自分のライフスタイルに合わせられるよう、テキストを中心として学ぶコースや3回のレッスンで完結するコース等、カリキュラムも複数用意されている。今回はテキストを中心として学ぶコースを記者が実際に体験した。
はじめにMIKIKOさんからホワイトボードを使った授業形式でテキストの解説を受け、その後実践に移った。
花器に水を汲み、剣山を入れる段階から自分で準備。花鋏の使い方を教わり、いよいよ花をいける。実際にやってみると想像していたよりも難しい。それぞれ違った形をしている花を、バランスを見ながらいけなければならない。また剣山に花を差す作業は、いけばなの華やかなイメージとは裏腹に力がいる。「枝物をいける時は花鋏で少し切れ目を入れると差しやすいです」などとMIKIKOさんのアドバイスをもらいながらなんとか完成させることができた。


最後に完成した作品の講評を受ける。「草月流の型をおさえた作品で非常にまとまりが良いです。後ろが少し寂しいので、枝を足すと奥行が出て更に良くなると思います」というコメントをもらった。
教室で使った花は持ち帰り、家でもう一度いけることができる。

東京セルフネイルサロン
一般的なネイルサロンといえばネイリストに個別に施術を行ってもらうスタイルのものが想像される。しかしMIKIKOさんが運営する東京セルフネイルサロンは、店内に設置されているネイルベースや硬化機、ネイルチップを自分で自由に利用してネイルを完成させる、”セルフネイル”を売りにしている。
東京セルフネイルサロンでは、店内にある100種類のネイルカラーと350種類のネイルパーツをはじめの30分750円、以降15分ごとに280円で好きなだけ使用することができる。ちなみに、店内に置かれているネイルベースはサンディング(自爪を削ってジェルネイルを落とす作業)の必要がないものもあり、爪に負担をかけずにジェルネイルを楽しむことができる。セルフネイルというスタイルを売りにしている当サロンだが、施術中はMIKIKOさんからネイルのイメージやオススメのネイルチップに関するアドバイスを受けられるため、ジェルネイル初体験の記者も30分でネイルを完成させることができた。


ジェルネイルは、従来のネイルサロンで行う場合通常1万円前後の料金がかかる。学生には手が出しにくい価格帯だ。また、飲食店や学習塾などネイルが禁止されている職場でアルバイトしている学生も多く、ネイルがしたくてもできないという学生は少なくない。こうした制約がある人も気軽にネイルを楽しめるお店があれば、というMIKIKOさん自身の願いからこのサロンは生まれた。「普段ネイルをすることが難しい環境にいる方でもデートや旅行など特別なイベントがあるときに利用してほしい。」とMIKIKOさんは話す。お手頃な価格帯以外にも、「可愛くなりたい人が、今すぐ可愛くなれる場所」というこのサロン全体のコンセプトが随所に表れている。トイレには河合さんセレクトのあらゆるメイク道具がセットされている。お店のレイアウトは、「お客様がリラックスできるように」という意向からネイルの施術時に御茶ノ水の街を一望できるつくりになっている。
このように、起業家というビジネスマンとしての顔を持つMIKIKOさんだが、彼女のホスピタリティは並大抵なものではない。


最後にMIKIKOさんに起業した理由について聞くと、「様々な人の意見を取り入れられるという学生起業の強みを活かしたかった」と語った。
四谷から中央線で一駅の御茶ノ水駅から徒歩7分程度でアクセスできるこのお店は、本学の学生であれば空きコマに利用することも可能だ。「可愛くなりたい」と思った時はMIKIKOさんのサロンを訪れてみではどうだろうか。

 

(齋藤由季花、山田みう)

2019年10月10日

東京トガリくんにインタビュー!

 

本紙10月号でインタビューに答えてくれた東京トガリくん。紙面では載せられなかった、インタビューの残りを特別に上智新聞WEBで公開する。

■好きな食べものは何ですか

おサカナと、おかしです! すきなおサカナは、イカと、イクラと、うなぎと、サンマとしめさばも大すきです! おかしは、うまいぼと、あまいのと、しょぱいのと、からいおかしも、大すきです!

 

■トガリくんお気に入りの場所はどこですか?

ご近じょの、こうえんと、おさんぽみちです!

りゆうは、ときどき、知らない人から、「あ、トガリくん! いつもツイター見てるよ!」て言われたり、おともだちのネコくんもいて、いしょに、あそんだりできるからです!

■新聞を読むのは好きですか?

テレビのよていが、全ぶ書いてあて、おもしろい4コママンガもあて、映画かんのじょうほうものてて、いいによいもするから、大すきです!

 

■上智新聞を読んでみてどう思いましたか?

4コママンガがあて、いいによいがして、じょうち大学のヒミツもいぱい書いてあて、おもしろかたです!

「新ぶんきしゃぼしゅう中」のお知らせも書いてあたから、ちょとこんど、ぼくも新ぶんきしゃになて、カコよくインタビュしたり、新はつばいの、おかしのじょうほうを書いてみたいです。

■四ツ谷に来るのは初めてですか?

ときどき、でんしゃで、とおたことがあたけど、来たのは、はじめてです!

おとさんに「『よつやかいだん』で、ゆうめいなばしょだよ」て、おしえてもらたから、ちょとかえりに、よつやかいだんに行て、かいだんの1ばん上まで、のぼてみたいです!

■よつやかいだんの「かいだんは」昇り降りする「階段」ではなくて、怖い話の方の「怪談」ですね!怖い話は平気ですか?

平気です! テレビの「ほんとにあたこわい話」と、いな川じゅんじのこわい話も大すきだけど、ちょとまだ、映画の「ゾンビ」と「バタリヤン」は、ぜたいにこわそうだから、見たことないから、こんど、がんばて見てみたいです。

 

■トガリくんが10月にしてみたいことはありますか?

10月になたら、3才になるから、お兄ちゃんだから、ちょとむずかしそうな映画を、さいごまで、いねむりしないで見たり、かん字いぱいの本をよんだり、あとは、ピクニクと山のぼりと、サンマも、いぱいたべたいです!

■トガリくんが書ける中で一番得意な漢字は何ですか?

「東京」です。りゆうは、ぼくの、みよじだからです!

 

■東京以外の場所で、好きな場所はありますか?

おばあちゃんがすんでる、ほかいどです! おおさかも、タコやきがおいしいから、大すきです!

■上智大学の中でお気に入りの場所は見つかりましたか?

エレベータにのて、おく上にのぼたら、新宿の見たことあるビルいぱいと、とおくに、ぼくのすんでる中野の、中野サンプラザも見えて、下を見たら、クルマと歩いてる人と、みんな全ぶが、ちちゃく見えて、おなかの下がキュてなて、おもしろかたです!

あとは、レストランのカレライスが、いいによいがして、おいしそうだたから、こんど来る時は、おく上まで、かいだんでのぼてから、おなかペコペコにして、レストランで、げきからのカレライスとジンジャエールをたのんで、たべてみたいです!

 

(安達理沙、山田みう)

(撮影:横山遼太)

2019年9月27日

話題の「ランチごち」を体験

5月から始まった本学の全学同窓会である「上智大学ソフィア会」主催の「ランチごち」。上場企業のマネジメントやリーダーとして活躍する本学卒業生に、ランチをごちそうになりながら話をする企画だ。今回は局員3人で企画立案者でもある株式会社イーグルコンサルティングの奥原淳氏(81法法卒)の「ランチごち」に参加し、話を聞いた。

 

「ランチごち」はどのようにして生まれましたか?

奥原氏「私自身、卒業してから上智に縁がありませんでしたが、2年ほど前からソフィア会と交流を始めました。ソフィア会は本来、OB同士の交流だけでなく現役学生の皆さんを手助けすることも目的としていますが、これまでは『就職座談会』など対象が一部の学生の企画が主でした。そこでより多くの学生に役立つ企画はないかと考えたところ、第一線で活躍するOBOGがボランティアで学生とランチをしてキャリア選択などの話をする『ランチごち』という企画を思いつきました」

 

学生にどう活用してほしいですか?

奥原氏「学年や目的は関係ありません。就職のためだけでなく、将来のキャリアに関する相談も多いです。ただコネクションを作るためだけに利用するのはやめてほしいですね」

ランチごちは今後もリニューアルし、定期的に開催される予定。現時点で9月までは開催が予定されている。なお、申し込み時に面談希望者の名前の書き忘れなどの記入ミスをし、ランチごちに参加できていない人もいるので、記入漏れにはご注意を。

 

記者の目

第一線で活躍するビジネスマンに2時間以上、将来の不安や悩みを聞いてもらう機会など滅多にないため非常に貴重な体験だった。(通常は1.5時間程)大人との会食は緊張することだが、面談者は全員ソフィアンなので臆することなく申し込んでもらいたい。

ソフィア会ホームページでのランチごちの案内と申し込みサイトURLは次のとおり。

http://www.sophiakai.gr.jp/news/event/2019/2019041201.html

 

(田中有香)

 

2019年8月10日

学生時代に世界一周! 上智卒風景写真家・GOTO AKIさんの「好きな仕事をして生きる」

 

本学経済学部経営学科1995年卒業の風景写真家・GOTO AKIさんによる個展「terra」が品川キヤノンギャラリーSにて3月4日まで開催されている。そのほとんどの作品が日本国内の誰でもいける場所で撮られたという。美麗なその作品たちは抽象画のようなアート作品の要素を持つが、写されているのは紛れもなく現実の風景だ。写された風景たちはその裏に潜む「地球の鼓動」というストーリーで紡がれている。GOTOさんは従来の風景写真の価値観を崩し、新たな手法で風景を再構築して表現し、風景写真に新しい風をもたらした。その原点はなんなのか。学生時代から今の撮影スタイルまでを聞いた。(星野雄飛)

 

「世界一周の旅から写真の道へ」

小学生の頃、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』を読み「世界一周」に関心を持ったGOTOさん。本学在学中に沢木耕太郎のエッセイ『深夜特急』を読んで、子供の頃からの夢であった世界への旅を具体的なものとしてイメージできるようになったという。入学時は留学への憧れを抱いていたが次第に薄れ、世界一周へ旅立つことを決意。大学4年生の夏、世界一周へ出発した。

旅中、GOTOさんはサハラ砂漠で7歳年上の日本人カメラマンと出会った。「ボロい服装にボサボサの髪ながらキラキラとしていた目が印象的だった」とGOTOさん。就職して大企業の会社員となった大学の先輩達とは何かが違う。この出会いはGOTOさんにとって衝撃だった。大学では出会えなかった「好きな仕事をして生きる人」に感銘を受けた瞬間だ。

帰国後、総合商社の丸紅株式会社に入社。東南アジアなどで天然ガスパイプの輸送ルートの調査など、現場で活躍した。空き時間にはカメラ片手に街を歩き現地の様子を写真に記録した。まだネットの通信速度が遅い時代で、実際の写真は現地を知る有益な方法であったため、会社、ときには国土交通省や外務省からも「写真付きレポート」を求められたという。

責任のある仕事を任されながらも、写真で生きて行きたい気持ちが消えず、わずか3年でGOTOさんは商社マンとしての人生を終えることにした。

退職後、世界一周の際に旅人との交流で知った東京綜合写真専門学校に入学した。「アート漬け、スナップ写真漬けの2年間を過ごして、一瞬、そして偶然を切り取る感覚を養った」。専門学校卒業後は、フリーランスのカメラマンとして雑誌などの仕事を行う一方、自身の「写真作家」としてのテーマが悩みだっだ。

2005年頃、これまで歩んで来た道程の総決算が「風景写真家 GOTOAKI」を自然発生させた。世界一周に始まり、商社時代に至るまでに身についた地球的身体距離と異邦人の視点から日本を見つめる視線。専門学生時代に身につけたスナップショットの感覚とアートの感覚。そして、ネガとHDDに眠る写真群を見返すことで徐々に見えて来た自分と風景とのシンパシー。この三つが結びつき、試行錯誤の上で一つの形に出来上がったものがこの個展「terra」だという。

 

「点ではなくて面で捉える」

作品制作の上で重要な写真を撮る「視点」に今も大きな影響を残すのが、本学学生時代に経験した8ヶ月間の世界一周だ。「世界をバスや鉄道で移動したので、地球の大きさや距離感が体に染み込み、場所を点ではなくより大きな面という範囲で捉えるようになった」とGOTOさんは語る。日本の風景をモチーフとした本展は、特定の点としての場所ではなく、その周囲を含めた面としての撮影地をイメージしている。では、地球の一部としての捉えた時に日本はどう映るのだろう?

「日本は世界の陸地のたった0.25%の面積しかありませんが、世界の火山のうち7%もが集まっている火山密集国です。日本は火山でできていると言っても過言ではなく、地球の表情をテーマとした時、日本中にある火山とその周辺が、自然的に主たるモチーフとして表れました」。GOTOさんは、季節や天候に左右されずに、そこにあるがままの光景を「光・時間・色・造形・音・気温・匂い・風」といった要素にまず解体する。それらを自分の視点で再構築して作品に昇華するという。本展を鑑賞すると、決めつけない写真たちが鑑賞者に様々な捉え方を許すことに気づくだろう。

写真はその人の全てを写すとよく言われるが、「terra」にはまさにGOTOさんの人生が詰まっている。世界一周、ビジネスマン時代、専門学校時代、職業カメラマン中心の時代と一見バラバラにも見える過程だが、「GOTO AKI」という写真家の中ではこれらが相互に共鳴し合い、有機的に繋がっている。これらのどれ一つを除いても現在のGOTOさんとその作品たちは生まれなかった。人とは異なった人生の歩み方が風景写真の新たな表現を開拓したのである。

GOTO AKIさんと個展の美しい作品たち

美麗な作品たちの中に佇むGOTO AKIさん

 

「在校生へ」

最後にGOTOさんから学生に向けてのメッセージ。「デジタルネイティブ世代の若者にはいかにアナログを取り入れるかを大事にしてほしい。写真展はアナログなもの。わざわざ時間とお金をかけてやることには意味がある。写真展という空間の提供は人同士の出会いを生む。出会いは人に『バイブレーション』を発生させ、自分にも相手にも『衝動』を生む。衝動は自分の世界を広げてくれる」。

在校生の中には自分の大学生活に満足できていない人もいるかもしれない。その理由はさまざまだろうが、自分がやってきたことやこれから挑戦していく経験に無駄なものはないとGOTOさんは教えてくれた。まさに、この個展は卒業生のGOTOAKIが上智生に与えてくださった「衝動」そのものであった。

2019年2月25日

上智の謎サークル~貧乏旅行部に迫る~

みなさんは本学に貧乏旅行部というサークルがあるのをご存知だろうか?

名前からも分かるように、このサークルは普通の旅行サークルではない。と言うより旅行サークルと言ってよいのか分からない。

今回はそんな貧乏旅行部の代表・岡本滉太さん(文哲2)と部員の荻原桃夏さん(経済2)、小山哲夫さん(文哲2)、山内杜人(経済2)に話を聞いた。

 

 

Q貧乏旅行部の活動内容とは?

荻原「お金をかけずに旅行するのが本来の活動。ただ実際は部員全員が参加を強制されるものではなく、各々が好きな時に好きな場所へ旅行に行っている」

岡本「貧乏旅行部の活動の一つにお金をかけない飲み会がある。最近も4軒のお店を回って合計金額が一人あたり2500円だった」と自慢げに話した。

お金をかけない方法としては他に本学近郊の外堀公園を利用する方法があり、その際の代金は一人あたり500円程度だという。また、飲み会も旅行と同様に自由参加で行われる。集め方も定まっておらず、口頭やtwitterで呼びかけるなどさまざま。それもあって飲み会の参加率は全体の20%程度だという。

 

Q貧乏旅行部に入る条件は?

岡本「貧乏であることが入部の条件。ただ貧乏の明確な定義は無い。その時財布の中にお金が無いことや、着ている服が安いことなど、なにか一つ貧乏であることを示せれば、それで条件は満たされる」

貧乏であればだれでも入れるのがこのサークルの魅力の一つだ。

 

Q貧乏旅行部に所属する皆さんの貧乏エピソードを教えてください

小山「(リュックから青りんごを一つ取り出し)これが僕の昼ご飯です(笑)」
山内「家の水と電気を止められたことがある」
さらに荻原さんは小岩に住んでいるという。

 

貧乏旅行部は飲み会の席で部員数3人から始まり、その自由な精神性に共感した人が多く参加し、創部から一年あまりで部員数は68人に増えた。今後の展望について山内さんは「一度は全員で旅行に行きたい」と語った。貧乏でも明るく生きる貧乏旅行部のみなさんを見ていると元気が出てくる気がした。

2018年12月25日

聖書がボードゲームに!? ~製作元のキリスト新聞社に迫る~

 

聖書の登場人物たちをカードに戦う野球ゲームがある。その名も『バイブルリーグ』。製作元は戦後間もない1946年から発行を続ける由緒ある新聞社、キリスト新聞だ。これまでの伝統的なキリスト教教育は若者が興味を持ちづらい状態にあった。本学のキリスト教人間学でも講義の時間を睡眠時間に充てている学生が多く、例外ではないだろう。キリスト新聞社代表取締役社長で編集長の松谷信司さんはそんな現状を打破しようと多くの試みを行ってきた。ゲーム性の高さと情報の正確さを兼ね備えた本格的なボードゲームやスマホゲームの開発、サブカルチャーをふんだんに取り入れた新聞製作などである。「聖」なる夜に、楽しみながらキリスト教のディープな知識に触れてみるのはどうか。

(記者:髙瀬詩穂美 デスク:岩﨑結衣 撮影:小林郁人)

 

<中見出し一覧>
・ゲームについて

・ラノベにプリキュア? キリスト新聞とは

・「教える側が工夫しないのは職務怠慢ですよ」 大学も

・おまけ 「スマホゲーム」も含めた全7種類のゲームリスト

 

 

■ゲームについて

 

『バイブルリーグ』は1打席ごとにナンバーカードを出し合う野球ボードゲームだ。点数に関係なく勝敗が決まる「最後の審判」などのルールも交えながら、聖書の登場人物に楽しく触れることができる。「アダムとイブの露出度が高すぎるとのクレームも入りました。むしろ服を着せたら聖書に忠実じゃなくなっちゃうんですけどね」。松谷さんは苦笑しながら、新しい試みには多方面からの反発も多いと話す。問題のカードには、右手に林檎を持ち左手の巨大なグローブで身体の一部を隠している全裸のイブ(エバ)が描かれている。カードの効果は「相手打者が【男】なら、投力+1」、該当する聖書の箇所は創世記3章6節の「女は実をとって食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた」という部分だ。この1節は信者ならば知らない者はいないような定番の聖書箇所で、キリスト教の信者数を考えれば世界的な教養ともいえる。カードの効果やキャラクターの立ち絵は、すべて聖書をもとに作られている。

 

野球ボードゲーム『バイブルリーグ』

 

キリスト教に関する歴史の知識を深められるゲームもある。ボードゲーム『ルターの宗教大改革』では、プレイヤーはいかに自身の「正統度」や「改革度」を高めて宗教改革を成功させられるかを競い合う。例えば「公開討論」を怠っていると、「ドイツ農民戦争」の局面で最も「正統度」の低いプレイヤーが「異端」としてダメージを受ける。また「宗教改革者」側だけでなく、免罪符を発行して宗教改革のきっかけとなったローマ教皇「ルイ10世」としてもプレイ可能だ。宗教改革の知識がまったくなくても、自分がまるで歴史上の重要人物だったかのように楽しみながら学べる本格ゲームである。

 


『ルターの宗教大改革』

 

キリスト新聞社は、1人で遊べるスマホ用アプリゲームも含めて現在までに計7種類製作している。ゲームのリストは記事末尾に掲載した。

 

 

■ラノベにプリキュア? キリスト新聞って何者

 

キリスト新聞社はゲームの制作だけでなく、聖書ラノベ新人賞の開催や新聞紙面をタブロイド版横書きカラー印刷にするなど大胆な改革を進めている。タブロイド版になってからの紙面では顔となる1面に大きく初代プリキュアがカラーで掲載されるなどインパクトも強い。これは2018年10月21日発行の、プリキュアとコラボしてフィリピンのサマール地区に体験型の図書室を設置しようというクラウドファンディング企画を取り上げた号だ。

キリスト教系の発行物として異色なのはサブカルチャーとの近さだけではない。歴代ローマ教皇およびローマ教皇庁は、2000年近い歴史の中で同性愛を聖書で禁じられた行為として認めてこなかった。昨年5月にフランシスコ現教皇が同性愛者の男性に対して、「創造主があなたをそのように作った」と肯定する言葉を個人的にかけてニュースになったが、いまだに教皇庁の公式見解としては是認されていない。だがそんなキリスト教の世界でも聖職者による小児者への性的虐待やセクシュアルハラスメント、性的マイノリティーの神父や牧師や信者がどうしていくかといったセンシティブなことが問題になっている。そこで松谷さんは未成年者虐待に対する教皇庁の対応や、同性愛をカミングアウトした牧師のエッセイをレビューする記事なども積極的に掲載している。「なぜそのような問題を取り上げるのか、宣教に支障が出るなどの理由で教会から苦情も来るが、まずその意識を変えなければ駄目」と松谷さん。キリスト新聞はともすれば内部で隠蔽されがちな問題から目を逸らさず、考えていこうとする役割も担おうとしている。

 

そもそもキリスト新聞は教会やキリスト教系学校など業界向けのメディアだった。とはいえ創刊当時から「教派に捉われずキリスト自身を伝えようという姿勢があった」と松谷さんは言う。現在でも特定の教派に偏らない超教派的なスタンスは変わらないが、より大きな境界線を越えて他宗教である仏教やイスラム教の関係者も連載執筆陣となっていたり、カルト的な新興宗教に関する問題を取り上げたりもしている。「紙面をリニューアルした後、内部向けからより広く一般的な読者層にも読んでもらえるよう微妙に方針転換をした」と松谷さんは話した。

 
 

■「教える側が工夫しないのは職務怠慢ですよ」大学も

 

しかし、歴史ある新聞社でまだ若く革新的な松谷さんが代表取締役となるまでに一体何があったのか。

現在キリスト新聞の制作陣はたった数人だ。大学卒業後テレビ朝日系制作会社、小学校教員と2度転職してキリスト新聞に入社したという松谷さん。「さすがに3度目の転職はないと思って辞めようと考えたことはありません。代表取締役も、先達が辞めていく中で他にやる人がいないから仕方なく、という面が強いです」。予想外の回答だ。就任当初から強い改革の意思があったわけではなかった。だが「やるからには」とキリスト新聞および日本におけるキリスト教の現状を真剣に考えるようになった。

松谷さんは宣教の現状に危機感を抱いている。「キリスト教系の学校は日本全国に何百とある。例えばプロテスタントの小学校から大学までを合わせた年間卒業者数は約8万人。一方、日本のキリスト教信者数は長く人口全体の1%未満のまま。これだけ多くの人がキリスト教に触れていてなぜ教会に足が向かないのか。日本に宗教は根付かないと言われる風土も関係しているかもしれないが、これは伝え方に問題があるだろうと」。この問題意識から、自身も好きな漫画やゲーム、ライトノベルなどのサブカルチャーを取り入れた活動を始めた。本学史学科の学生・SONOさんがキリスト新聞紙上で3年間にわたって連載した漫画『教派擬人化マンガ ピューリたん』、聖書ラノベ新人賞などはその一例だ。

大学などが行っているキリスト教教育についてどう考えるか。松谷さんは「伝道と教育は違うかもしれないが、伝える側の工夫は不可欠。牧師や神父が学校の礼拝でも教会での説教とまったく同じように話したり、聖書を読み聞かせているだけでは誰も聞かなくて当然です。教会の説教者ならそれで通用するかもしれませんが、学校の教員だったら職務怠慢になりますよ」と意見した。

「幼児向けのぬり絵とか、反対に小難しい聖書入門とかはもうあふれるほどある。でも、ちょうど学生が面白いと思えるようなものがなかった」。改革を始めてまだ数年、手応えを聞くと「採算面ではわからないが、認知度は間違いなく上がった」とにやりと笑った。

 


タブロイド判『Kirishin』とゲームを手に微笑む松谷信司代表取締役社長

 

 

◇おまけ 「スマホゲーム」も含めた全7種類のゲームリスト◇

<カードゲーム&ボードゲーム>

『バイブルハンター』(全3部作)

『最後の晩餐~裏切り者は誰だ』(聖書版人狼)

『バイブルリーグ』

『ロストバイブル』

『ルターの宗教大改革』

<スマホ用アプリゲーム>

『モーセの海割り』

『教派擬人化学園 ピューリたん~チャペルにあつまれっ!』

 

2018年12月24日

上智の立ち入り禁止!~市ヶ谷キャンパスに潜入~

今回は上智生でも訪れる機会の少ない市谷キャンパスにある数学図書室に潜入しました!


市ヶ谷駅から徒歩5分、落ち着いた街並みの中に上智大学市谷キャンパスは位置します。キャンパスとはいえ建物は2つ。上智らしいこぢんまりとしたキャンパスです。数学図書室があるのは1950年代に建てられたという市谷本館2階。


普段は紫外線が本を傷めるため閉めているカーテンを開けるとステンドグラスがあり、とても味のある雰囲気を醸し出しています。

 

数学図書室司書奥田正子さんによると、数学図書室には数学にまつわる本が約3万5000冊所蔵されているそうです。これらの本は学生からリクエストされたもの、授業で使うもの、などを踏まえて情報理工学科数学領域の教職員が選び管理しています。蔵書には歴代の数学専攻の修了生が書いた博士論文・修士論文も含まれます。和書だけでも一万弱の冊数がありますが、洋書は三万冊近く。英語、フランス語、ロシア語など様々な言語で書かれています。古いものでは1800年代の本もあり、高いもので数万円の値がつき非常に高価です。これほどの膨大な蔵書を保管する場所は限られているため、最近は冊子の購入を縮小し、シリーズ物を中心に電子ブックの購入を進めています。電子ブックはVPN接続を利用して学外からも閲覧可能です。11月に中央図書館のOPACからも検索可能になりました。ちなみに冊子で良く利用される本は「Lecture Note in Mathematics (Springer)」という最新の研究結果をわかりやすく解説したシリーズものの洋書や、ゼミで紹介されるという『代数入門―群と加群―』『多変数複素解析学入門』などだそうです。

 

単行書以外にも学術雑誌の所蔵があり雑誌コーナーに60種類の新着雑誌、閉架の地下書庫に150種類1万8千冊のバックナンバーが所蔵されています。

これらの中央図書館にはない専門的な本は、主に情報理工学科の数学を専門に研究しているゼミ生、院生に利用されています。情報理工学科の学生は中央図書館で借りるよりも長期間、学期末までこれらの本を借りることができます。もちろん他学科生も貸出期間は中央図書館と同じ2週間ですが数学図書室の利用は可能です。

 

数学領域主任・都築正男教授、横沼健雄氏、森本光生氏、内山康一氏の元数学学科長らの話によると、数学図書室は1965年、当時の理工学部数学科の誕生と共に設立されました。数学科設立に大きく貢献し、後に本学第6代学長となる守屋美賀雄氏をはじめ、南雲道夫氏、寺坂英孝氏が「数学の研究・教育の中心は図書室である」とし、数学図書室を誕生させました。豊富な蔵書がある中央図書館とは別に数学図書室を設立させた背景には、数学にとって本は必要不可欠な実験道具であり、その本を研究者・学生たちが直ぐ手に取れるよう、研究室近くにどうしても図書室が必要だったことがあります。学生が多くの研究文献に触れられる環境をつくるために学術雑誌・研究論文集の収集にも力を注ぎ、数学科の教員が収集した資料は個人研究室ではなく図書室に集め共有してきました。数学の世界において、一度証明された事象は新しい論理が発見されない限り覆されないため、たとえ100年前の研究結果でも価値は失われません。そのため研究者たちは自らの研究成果を書物に記し、後世に残します。そして後に続く研究者たちは先人たちが残した数々の文献を参考にして数学の研究を行っていくのです。

現在四谷キャンパスでは、3・4・8・9号館が改修工事中ですが、着工以前は4号館の5階が数学図書室の本拠地でした。つまり今市谷キャンパスにある数学図書室は仮の場所。2019年度中には四谷キャンパスに戻る予定です!
数学図書室は現在大改革中!皆さんぜひお立ち寄りください〜

2018年12月2日

上智の立ち入り禁止!~理工学部研究室に潜入~

“「潜入!上智の立ち入り禁止」”

この企画では、特定の学部やサークルに所属していない限り、一般の上智生が4年間で立ち入ることのないような場所に、上智新聞の局員が潜入取材を試みる!

このコーナーを通じて、日頃利用しているキャンパスの違う姿が見えるかもしれないぞ!

 

では、前置きはこのくらいにして、早速本題に入ろう。

あなたは「バイオハザード」と聞くと何を思い浮かべるだろうか?映画「バイオハザード」かもしれないし、地下の薄暗い廊下の先にある物々しい警告マーク…のようなイメージを持つ人も多いだろう。

 

このコーナー第1回目となる今回は、四谷キャンパス4号館地下にある、理工学部の「バイオハザード」領域に潜入するぞ!!

 

今回この研究室を案内していただくのは、物質生命理工学科の川口眞理准教授。

待ち合わせの当日、4号館の地下1階にあるというその部屋に向かう。薄暗く、地下だからか少しひんやりした廊下の奥にその部屋を見つけた。ドアの曇りガラスに遮られて部屋の中は見えず、黄色い看板に黒字で「バイオハザード」の掲示――。

 

怪しい。怪しすぎる!

調べてみると、この掲示の目的は、「組換え生物や病原菌が拡散しないよう、領域を区切り、封じ込める」ためだという。WHO(世界保健機関)は、「実験室バイオセーフティー指針」により、実験室のレベル分けに応じた安全確保の指針を示している。そこで定められたバイオセーフティーレベルは、取り扱う生物の毒性、設備の充実度などを目安に4段階に分けられているそうだ。

 

本学の生物研究施設は全て封じ込めレベルが最も低いP1レベルのもので、P2レベル以上の施設はない。本学のP1レベルの実験室では、組換え大腸菌や動植物など、ヒトが危険な目に遭う可能性の少ない生物を扱っているそうだ。ちなみに、最上級の設備が整ったP4レベルの施設はなんと、全国に2か所しかないらしい!

 

残念ながら、取材に行った日は実験室で「バイオハザード」に該当する生物や微生物を取り扱っていなかった。しかし時期によっては、大腸菌の遺伝子組換え実験など、「バイオハザード」に該当する実験も行っているそうだ。

 

では、実験室の内部に潜入!

実験室に入ると、廊下から見える2枚の扉からは想像が付かないほどの広さの空間が目に入る。

川口准教授によると、この部屋は、主に理工学部の学部生が生物実験の授業で使用するそうだ。「バイオハザード」という言葉から、危険な実験をする恐ろしい部屋を想像してしまうが、意外にも内部は中学、高校にもあったような、広くて綺麗な、普通の実験室だ。実験台が何台も並んでおり、その上には様々な器具が用意されている。授業に使う教室なので、当然黒板もあり、その日に行う実験について書かれている。

早速、授業で使っている実験道具を見せていただこう。川口准教授は、春学期の生物科学実験IIで、学部3年生の実習を担当されている。今学期の授業では、ニワトリの卵からタンパク質を取り出す実験をしているそうだ。なんだか難しそう…

 

川口准教授は室内の実験装置を順次紹介してくれた、まずは、取材日の実験で使う予定だったという、普通の市販の鶏卵。

 

「え、これが実験材料なんですか!?」

大学の理系の研究というと、劇薬!危険!というイメージを持つ方も多いと思うが、生物の実験では、私たちでも手に入れられるような、身近なものを使って実験を行うことが多いそうだ。 

上の写真の器具は、スタンドに取り付けた棒の先端が電動で回転するようになっており、容器の中の液体を撹拌するために用いられるという。いわば超高速のミキサーだ。今回は卵の白身を均一にするために使用するらしい。

 

こちらは一見普通の冷蔵庫だが、中は試薬でいっぱい!


さらに、実験材料の多くは身近な材料であるとはいえ、やはり危険な薬品が入っている棚もあった。

この「医薬用外劇物」と表示された棚は、塩酸などの薬品が保管されており、鍵がかけられている。


引き続き、様々な設備を見ていこう!

 

この箱型装置は、その名も「ドラフトチャンバー」。とても大きい!

川口准教授:「ドラフトチャンバーは、チャンバー内の実験空間と室内の空気をガラス扉で区切り、実験空間の有害な微生物や気体が実験室に拡散しないようにする排気装置です。」

 

なるほど。今度は一昔前の洗濯機のような機械を発見!これはどうやって使うのだろうか?

川口准教授:「この機械はオートクレーブといい、実験で使った菌を熱で死滅させることができます。大腸菌の遺伝子組換え実験では、この処理を行うことで、大腸菌を安全なごみとして実験室の外に持ち出せる死骸の状態にしています。」

 

川口准教授:「微生物を実験室外に流出させてしまうのは、絶対にあってはならないこと。決してやってはいけない」

他大学が、十分な処理をしないまま遺伝子組換え生物を流出させてしまい、問題となったこともあるそうだ。そのようなことがないよう、この実験室を利用する学生には事前に講習を受けさせるなど、遺伝子組換え生物を流出させないための徹底した対策を行っているそうだ。

 

今回の取材では、理工学部の学生や教員が不測の事態を防止するために、一つ一つの作業に集中しようという姿勢を覗き見ることができた!学内の多くの読者と同じく文系の記者にとっては、たくさんの実験器具や徹底した安全管理は、とても新鮮で驚くべきものに感じたぞ!

 

次回も「上智の立ち入り禁止」企画では、上智大生があまり立ち入らないあの場所やこの場所に潜入していく予定!乞うご期待!

 

(記者:山之内志織・本間歩・加藤風花)

(写真:星野雄飛)

 

2018年12月2日

芸術の秋~学生もミュージカルへ行こう!~

芸術の秋と聞いて、最初に思い浮かぶものは何だろう。絵画、音楽、映画など、私たちが楽しむことのできる芸術は数多い。しかしミュージカルには高尚で敷居が高いイメージがあり、まだ行ったことがないという人も多いのではないだろうか。今回は、購入したものの行けなくなってしまった演劇やミュージカル、コンサートなどのチケットを定価以下でやり取りできるチケット救済掲示板、「おけぴ」の管理人である山野上寛さんに話を聞いた。

 

山野上さんによると、ミュージカルの魅力は、歌声、ダンス、音楽、衣装、美術、客席の一体感のすべてが組み合わさった舞台を生で味わえることだという。「生の舞台はテレビや映画と違い、生身の人間がその場で演じているため、息遣いや視線、汗、それら全てが本物です」と山野上さん。同じ脚本、同じ出演者でも、少しのタイミングの変化やセリフの抑揚、感情の盛り上がり、客席の反応、時にはハプニングなどによって、日ごとに違った感動が生まれるという。

出演者の数が多いミュージカルでは、大勢で踊る群舞や、舞台脇での小芝居も見逃せない。自分の好きなタイミングで好きな出演者を見られるのは、視線が固定されていないミュージカルだからこそできる楽しみ方だ。観劇上級者になると、他の人のオペラグラスの向きや上げ下げのタイミングだけで、その人が誰のファンなのかわかるというのだから面白い。

 

基本的に劇中の音楽はオーケストラやバンドが生演奏をしているということもあり、ミュージカルのチケットは少し高い。しかし、当日券や学割を利用すれば手軽に楽しめる公演も数多くある。

例えば、現在帝国劇場にて上演中の「マリー・アントワネット」は、当日学生割引を使えばS席は4500円引きの9000円、A席は半額以下の4000円でチケットが手に入る。また、新国立劇場では、舞台が一部見切れるZ席が公演当日に1500円で売り出される。

 

各劇場における学割一覧

 

ミュージカルに対し、「初心者でも楽しめるのだろうか」という心配は無用であるように思う。むしろ、非日常を体感したり新鮮な発見に驚いたりと、初心者ならではの楽しみもあるのではないだろうか。ぜひ学割や当日券を利用して、劇場に足を運んでみてほしい。

2018年11月24日

上智大学からミュージカル俳優へ ~石井一孝さんの学生時代に迫る~

7月まで上演していたミュージカル『シークレット・ガーデン』に、ネヴィル役で出演していた上智大出身の石井一孝さん。

学生時代にはシンガーソングライターを目指していた石井さんは1992年、友人の勧めで応募したミュージカル「ミス・サイゴン」のオーディションに合格し舞台俳優デビュー。1993年にはディズニーアニメ『アラジン』のアラジン役(歌を担当)、その翌年には『レ・ミゼラブル』のマリウス役、TVドラマ『29歳のクリスマス』の深沢役を掴み、想像もしていなかった俳優としての道が次々と開かれていった。

そのように、本学の卒業生として輝かしい実績を築いている石井さんに、久しぶりの母校で在学時のエピソードを振り返ってもらった。

 

 

石井さんは外国語学部イスパニア語学科出身。高校時代、『スペイン子連れ留学』という小西章子さんのスペイン生活を描いたエッセイに感銘を受け、イスパニア語学科を選んだという。「インターネットもなかった時代だったから、パエーリヤって実際どんな料理かも知らなかったのに、スペインに運命的な何かを感じてね。図書館や本屋でスペイン関連の本を読み漁ったんですよ」と石井さん。そしてスペイン語が学べる大学として、上智を受験し合格した。

迎えた入学式。周りの新入生がブレザーやワンピースに身を包むなか、石井さんはなんと黄色のスキーウェアという奇天烈な格好で出席した。「今は俳優ということもあってファッションには気を遣っているけど、当時はホントに着るものに興味がなかったし、周りにどう思われるかなんて気にしない変わり者だったんだよね」。当然周囲からは「引かれた」という。

 

 

翌年のオリエンテーションキャンプで、石井さんはまさかの変貌を遂げる。元々、興味があることとないことへの態度がはっきりしている石井さん。入学当初は受験によるストレスで、その自由奔放で社交的な性格はかなりねじ曲がっていたと語る。「オリキャンでは、手つなぎ鬼とかサッカーなど興味のないレクには、周りに白い目で見られても参加したくないと主張したんです。なのに夜に開催されたイントロクイズにはすごく積極的に参加した。そしてあまりにも協調性のない僕を注意してきた上級生のヘルパーに逆切れしたんだよね。当時は心が荒んでたなあ。あの頃の自分とは友達になりたくないです 笑」。当然同級生にはドン引きされたという。

しかし授業を通して同級生との交流を深め、本来の明るくオープンな性格が開花。すっかり人気者になった石井さん。その勢いで2年生時には、同級生の推薦でまさかのヘルパーに就任。一年前は嫌がって参加しなかった手つなぎ鬼には誰よりも嬉々として参加したという。

入学後、石井さんは音楽系のサークルに所属するも、学生の思い出作りの時間を重ねることに違和感を感じすぐに辞める。プロの歌手を真剣に目指していたからだ。程なく5歳年上のプロ志向社会人達の組む金髪ロン毛ハードロックバンドに加入。

その後は、シンガーソングライターになるためにひたすら作曲とライブ活動を重ねたのだが、面白いのはもう1つ学生時代に熱を入れた「とあること」だ。なんと、石井さんは「ホフマンホールのB1にあるトレーニングルームでベンチプレスを上げること」に4年間の情熱をささげたと言う。「逆三角形の引き締まった体を手に入れ、女子にモテたかったから」という動機が学生らしい 笑。「部活動はしていなかったが、ホフマンホールで出会うラグビー部やアメフト部員、ベンチプレスのヌシとともに汗を流してたっけなあ。ベンチプレスを上げた後に、プロテインをがぶ飲みしながら食べた、ホフマンの食堂のカレーがホントおいしかった」と懐かしそうに話してくれた。ここで気になったのが「ベンチプレスのヌシ」という人物。石井さんが言うには、ベンチプレスの主とは、「明らかに学生ではないのに、なぜかホフマンのB1でベンチプレスを上げていた人物。それも平日の昼間から」だそう。また、そのヌシはベンチプレスを上げに来る学生への指導も行っていたようで、石井さん自身も最初はヌシに補助してもらいながらベンチブレスを上げたという。石井さんは四谷周辺で運送業のバイトをしていたということもあり、卒業後も25歳になるまで、ホフマンホールでベンチプレスを上げ続けたそうだ。「その時は、逆に俺が学生達にヌシって呼ばれてたかもしれない」と苦笑いした。

 

 

キャンパスの風景や学内の設備は色々変わったね。でも目をキラキラさせているソフィアンの爽やかさは変わらない」。ハラルカフェで大きなナンにかぶりつきながら、私たちに語る石井さんの瞳もキラリと輝いていた。

2018年10月11日