上智の立ち入り禁止!~理工学部研究室に潜入~

“「潜入!上智の立ち入り禁止」”

この企画では、特定の学部やサークルに所属していない限り、一般の上智生が4年間で立ち入ることのないような場所に、上智新聞の局員が潜入取材を試みる!

このコーナーを通じて、日頃利用しているキャンパスの違う姿が見えるかもしれないぞ!

 

では、前置きはこのくらいにして、早速本題に入ろう。

あなたは「バイオハザード」と聞くと何を思い浮かべるだろうか?映画「バイオハザード」かもしれないし、地下の薄暗い廊下の先にある物々しい警告マーク…のようなイメージを持つ人も多いだろう。

 

このコーナー第1回目となる今回は、四谷キャンパス4号館地下にある、理工学部の「バイオハザード」領域に潜入するぞ!!

 

今回この研究室を案内していただくのは、物質生命理工学科の川口眞理准教授。

待ち合わせの当日、4号館の地下1階にあるというその部屋に向かう。薄暗く、地下だからか少しひんやりした廊下の奥にその部屋を見つけた。ドアの曇りガラスに遮られて部屋の中は見えず、黄色い看板に黒字で「バイオハザード」の掲示――。

 

怪しい。怪しすぎる!

調べてみると、この掲示の目的は、「組換え生物や病原菌が拡散しないよう、領域を区切り、封じ込める」ためだという。WHO(世界保健機関)は、「実験室バイオセーフティー指針」により、実験室のレベル分けに応じた安全確保の指針を示している。そこで定められたバイオセーフティーレベルは、取り扱う生物の毒性、設備の充実度などを目安に4段階に分けられているそうだ。

 

本学の生物研究施設は全て封じ込めレベルが最も低いP1レベルのもので、P2レベル以上の施設はない。本学のP1レベルの実験室では、組換え大腸菌や動植物など、ヒトが危険な目に遭う可能性の少ない生物を扱っているそうだ。ちなみに、最上級の設備が整ったP4レベルの施設はなんと、全国に2か所しかないらしい!

 

残念ながら、取材に行った日は実験室で「バイオハザード」に該当する生物や微生物を取り扱っていなかった。しかし時期によっては、大腸菌の遺伝子組換え実験など、「バイオハザード」に該当する実験も行っているそうだ。

 

では、実験室の内部に潜入!

実験室に入ると、廊下から見える2枚の扉からは想像が付かないほどの広さの空間が目に入る。

川口准教授によると、この部屋は、主に理工学部の学部生が生物実験の授業で使用するそうだ。「バイオハザード」という言葉から、危険な実験をする恐ろしい部屋を想像してしまうが、意外にも内部は中学、高校にもあったような、広くて綺麗な、普通の実験室だ。実験台が何台も並んでおり、その上には様々な器具が用意されている。授業に使う教室なので、当然黒板もあり、その日に行う実験について書かれている。

早速、授業で使っている実験道具を見せていただこう。川口准教授は、春学期の生物科学実験IIで、学部3年生の実習を担当されている。今学期の授業では、ニワトリの卵からタンパク質を取り出す実験をしているそうだ。なんだか難しそう…

 

川口准教授は室内の実験装置を順次紹介してくれた、まずは、取材日の実験で使う予定だったという、普通の市販の鶏卵。

 

「え、これが実験材料なんですか!?」

大学の理系の研究というと、劇薬!危険!というイメージを持つ方も多いと思うが、生物の実験では、私たちでも手に入れられるような、身近なものを使って実験を行うことが多いそうだ。 

上の写真の器具は、スタンドに取り付けた棒の先端が電動で回転するようになっており、容器の中の液体を撹拌するために用いられるという。いわば超高速のミキサーだ。今回は卵の白身を均一にするために使用するらしい。

 

こちらは一見普通の冷蔵庫だが、中は試薬でいっぱい!


さらに、実験材料の多くは身近な材料であるとはいえ、やはり危険な薬品が入っている棚もあった。

この「医薬用外劇物」と表示された棚は、塩酸などの薬品が保管されており、鍵がかけられている。


引き続き、様々な設備を見ていこう!

 

この箱型装置は、その名も「ドラフトチャンバー」。とても大きい!

川口准教授:「ドラフトチャンバーは、チャンバー内の実験空間と室内の空気をガラス扉で区切り、実験空間の有害な微生物や気体が実験室に拡散しないようにする排気装置です。」

 

なるほど。今度は一昔前の洗濯機のような機械を発見!これはどうやって使うのだろうか?

川口准教授:「この機械はオートクレーブといい、実験で使った菌を熱で死滅させることができます。大腸菌の遺伝子組換え実験では、この処理を行うことで、大腸菌を安全なごみとして実験室の外に持ち出せる死骸の状態にしています。」

 

川口准教授:「微生物を実験室外に流出させてしまうのは、絶対にあってはならないこと。決してやってはいけない」

他大学が、十分な処理をしないまま遺伝子組換え生物を流出させてしまい、問題となったこともあるそうだ。そのようなことがないよう、この実験室を利用する学生には事前に講習を受けさせるなど、遺伝子組換え生物を流出させないための徹底した対策を行っているそうだ。

 

今回の取材では、理工学部の学生や教員が不測の事態を防止するために、一つ一つの作業に集中しようという姿勢を覗き見ることができた!学内の多くの読者と同じく文系の記者にとっては、たくさんの実験器具や徹底した安全管理は、とても新鮮で驚くべきものに感じたぞ!

 

次回も「上智の立ち入り禁止」企画では、上智大生があまり立ち入らないあの場所やこの場所に潜入していく予定!乞うご期待!

 

(記者:山之内志織・本間歩・加藤風花)

(写真:星野雄飛)

 

2018年12月2日