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上智新聞電子版

聖書がボードゲームに!? ~製作元のキリスト新聞社に迫る~

 

聖書の登場人物たちをカードに戦う野球ゲームがある。その名も『バイブルリーグ』。製作元は戦後間もない1946年から発行を続ける由緒ある新聞社、キリスト新聞だ。これまでの伝統的なキリスト教教育は若者が興味を持ちづらい状態にあった。本学のキリスト教人間学でも講義の時間を睡眠時間に充てている学生が多く、例外ではないだろう。キリスト新聞社代表取締役社長で編集長の松谷信司さんはそんな現状を打破しようと多くの試みを行ってきた。ゲーム性の高さと情報の正確さを兼ね備えた本格的なボードゲームやスマホゲームの開発、サブカルチャーをふんだんに取り入れた新聞製作などである。「聖」なる夜に、楽しみながらキリスト教のディープな知識に触れてみるのはどうか。

(記者:髙瀬詩穂美 デスク:岩﨑結衣 撮影:小林郁人)

 

<中見出し一覧>
・ゲームについて

・ラノベにプリキュア? キリスト新聞とは

・「教える側が工夫しないのは職務怠慢ですよ」 大学も

・おまけ 「スマホゲーム」も含めた全7種類のゲームリスト

 

 

■ゲームについて

 

『バイブルリーグ』は1打席ごとにナンバーカードを出し合う野球ボードゲームだ。点数に関係なく勝敗が決まる「最後の審判」などのルールも交えながら、聖書の登場人物に楽しく触れることができる。「アダムとイブの露出度が高すぎるとのクレームも入りました。むしろ服を着せたら聖書に忠実じゃなくなっちゃうんですけどね」。松谷さんは苦笑しながら、新しい試みには多方面からの反発も多いと話す。問題のカードには、右手に林檎を持ち左手の巨大なグローブで身体の一部を隠している全裸のイブ(エバ)が描かれている。カードの効果は「相手打者が【男】なら、投力+1」、該当する聖書の箇所は創世記3章6節の「女は実をとって食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた」という部分だ。この1節は信者ならば知らない者はいないような定番の聖書箇所で、キリスト教の信者数を考えれば世界的な教養ともいえる。カードの効果やキャラクターの立ち絵は、すべて聖書をもとに作られている。

 

野球ボードゲーム『バイブルリーグ』

 

キリスト教に関する歴史の知識を深められるゲームもある。ボードゲーム『ルターの宗教大改革』では、プレイヤーはいかに自身の「正統度」や「改革度」を高めて宗教改革を成功させられるかを競い合う。例えば「公開討論」を怠っていると、「ドイツ農民戦争」の局面で最も「正統度」の低いプレイヤーが「異端」としてダメージを受ける。また「宗教改革者」側だけでなく、免罪符を発行して宗教改革のきっかけとなったローマ教皇「ルイ10世」としてもプレイ可能だ。宗教改革の知識がまったくなくても、自分がまるで歴史上の重要人物だったかのように楽しみながら学べる本格ゲームである。

 


『ルターの宗教大改革』

 

キリスト新聞社は、1人で遊べるスマホ用アプリゲームも含めて現在までに計7種類製作している。ゲームのリストは記事末尾に掲載した。

 

 

■ラノベにプリキュア? キリスト新聞って何者

 

キリスト新聞社はゲームの制作だけでなく、聖書ラノベ新人賞の開催や新聞紙面をタブロイド版横書きカラー印刷にするなど大胆な改革を進めている。タブロイド版になってからの紙面では顔となる1面に大きく初代プリキュアがカラーで掲載されるなどインパクトも強い。これは2018年10月21日発行の、プリキュアとコラボしてフィリピンのサマール地区に体験型の図書室を設置しようというクラウドファンディング企画を取り上げた号だ。

キリスト教系の発行物として異色なのはサブカルチャーとの近さだけではない。歴代ローマ教皇およびローマ教皇庁は、2000年近い歴史の中で同性愛を聖書で禁じられた行為として認めてこなかった。昨年5月にフランシスコ現教皇が同性愛者の男性に対して、「創造主があなたをそのように作った」と肯定する言葉を個人的にかけてニュースになったが、いまだに教皇庁の公式見解としては是認されていない。だがそんなキリスト教の世界でも聖職者による小児者への性的虐待やセクシュアルハラスメント、性的マイノリティーの神父や牧師や信者がどうしていくかといったセンシティブなことが問題になっている。そこで松谷さんは未成年者虐待に対する教皇庁の対応や、同性愛をカミングアウトした牧師のエッセイをレビューする記事なども積極的に掲載している。「なぜそのような問題を取り上げるのか、宣教に支障が出るなどの理由で教会から苦情も来るが、まずその意識を変えなければ駄目」と松谷さん。キリスト新聞はともすれば内部で隠蔽されがちな問題から目を逸らさず、考えていこうとする役割も担おうとしている。

 

そもそもキリスト新聞は教会やキリスト教系学校など業界向けのメディアだった。とはいえ創刊当時から「教派に捉われずキリスト自身を伝えようという姿勢があった」と松谷さんは言う。現在でも特定の教派に偏らない超教派的なスタンスは変わらないが、より大きな境界線を越えて他宗教である仏教やイスラム教の関係者も連載執筆陣となっていたり、カルト的な新興宗教に関する問題を取り上げたりもしている。「紙面をリニューアルした後、内部向けからより広く一般的な読者層にも読んでもらえるよう微妙に方針転換をした」と松谷さんは話した。

 
 

■「教える側が工夫しないのは職務怠慢ですよ」大学も

 

しかし、歴史ある新聞社でまだ若く革新的な松谷さんが代表取締役となるまでに一体何があったのか。

現在キリスト新聞の制作陣はたった数人だ。大学卒業後テレビ朝日系制作会社、小学校教員と2度転職してキリスト新聞に入社したという松谷さん。「さすがに3度目の転職はないと思って辞めようと考えたことはありません。代表取締役も、先達が辞めていく中で他にやる人がいないから仕方なく、という面が強いです」。予想外の回答だ。就任当初から強い改革の意思があったわけではなかった。だが「やるからには」とキリスト新聞および日本におけるキリスト教の現状を真剣に考えるようになった。

松谷さんは宣教の現状に危機感を抱いている。「キリスト教系の学校は日本全国に何百とある。例えばプロテスタントの小学校から大学までを合わせた年間卒業者数は約8万人。一方、日本のキリスト教信者数は長く人口全体の1%未満のまま。これだけ多くの人がキリスト教に触れていてなぜ教会に足が向かないのか。日本に宗教は根付かないと言われる風土も関係しているかもしれないが、これは伝え方に問題があるだろうと」。この問題意識から、自身も好きな漫画やゲーム、ライトノベルなどのサブカルチャーを取り入れた活動を始めた。本学史学科の学生・SONOさんがキリスト新聞紙上で3年間にわたって連載した漫画『教派擬人化マンガ ピューリたん』、聖書ラノベ新人賞などはその一例だ。

大学などが行っているキリスト教教育についてどう考えるか。松谷さんは「伝道と教育は違うかもしれないが、伝える側の工夫は不可欠。牧師や神父が学校の礼拝でも教会での説教とまったく同じように話したり、聖書を読み聞かせているだけでは誰も聞かなくて当然です。教会の説教者ならそれで通用するかもしれませんが、学校の教員だったら職務怠慢になりますよ」と意見した。

「幼児向けのぬり絵とか、反対に小難しい聖書入門とかはもうあふれるほどある。でも、ちょうど学生が面白いと思えるようなものがなかった」。改革を始めてまだ数年、手応えを聞くと「採算面ではわからないが、認知度は間違いなく上がった」とにやりと笑った。

 


タブロイド判『Kirishin』とゲームを手に微笑む松谷信司代表取締役社長

 

 

◇おまけ 「スマホゲーム」も含めた全7種類のゲームリスト◇

<カードゲーム&ボードゲーム>

『バイブルハンター』(全3部作)

『最後の晩餐~裏切り者は誰だ』(聖書版人狼)

『バイブルリーグ』

『ロストバイブル』

『ルターの宗教大改革』

<スマホ用アプリゲーム>

『モーセの海割り』

『教派擬人化学園 ピューリたん~チャペルにあつまれっ!』

 

2018年12月24日

上智の立ち入り禁止!~市ヶ谷キャンパスに潜入~

今回は上智生でも訪れる機会の少ない市谷キャンパスにある数学図書室に潜入しました!


市ヶ谷駅から徒歩5分、落ち着いた街並みの中に上智大学市谷キャンパスは位置します。キャンパスとはいえ建物は2つ。上智らしいこぢんまりとしたキャンパスです。数学図書室があるのは1950年代に建てられたという市谷本館2階。


普段は紫外線が本を傷めるため閉めているカーテンを開けるとステンドグラスがあり、とても味のある雰囲気を醸し出しています。

 

数学図書室司書奥田正子さんによると、数学図書室には数学にまつわる本が約3万5000冊所蔵されているそうです。これらの本は学生からリクエストされたもの、授業で使うもの、などを踏まえて情報理工学科数学領域の教職員が選び管理しています。蔵書には歴代の数学専攻の修了生が書いた博士論文・修士論文も含まれます。和書だけでも一万弱の冊数がありますが、洋書は三万冊近く。英語、フランス語、ロシア語など様々な言語で書かれています。古いものでは1800年代の本もあり、高いもので数万円の値がつき非常に高価です。これほどの膨大な蔵書を保管する場所は限られているため、最近は冊子の購入を縮小し、シリーズ物を中心に電子ブックの購入を進めています。電子ブックはVPN接続を利用して学外からも閲覧可能です。11月に中央図書館のOPACからも検索可能になりました。ちなみに冊子で良く利用される本は「Lecture Note in Mathematics (Springer)」という最新の研究結果をわかりやすく解説したシリーズものの洋書や、ゼミで紹介されるという『代数入門―群と加群―』『多変数複素解析学入門』などだそうです。

 

単行書以外にも学術雑誌の所蔵があり雑誌コーナーに60種類の新着雑誌、閉架の地下書庫に150種類1万8千冊のバックナンバーが所蔵されています。

これらの中央図書館にはない専門的な本は、主に情報理工学科の数学を専門に研究しているゼミ生、院生に利用されています。情報理工学科の学生は中央図書館で借りるよりも長期間、学期末までこれらの本を借りることができます。もちろん他学科生も貸出期間は中央図書館と同じ2週間ですが数学図書室の利用は可能です。

 

数学領域主任・都築正男教授、横沼健雄氏、森本光生氏、内山康一氏の元数学学科長らの話によると、数学図書室は1965年、当時の理工学部数学科の誕生と共に設立されました。数学科設立に大きく貢献し、後に本学第6代学長となる守屋美賀雄氏をはじめ、南雲道夫氏、寺坂英孝氏が「数学の研究・教育の中心は図書室である」とし、数学図書室を誕生させました。豊富な蔵書がある中央図書館とは別に数学図書室を設立させた背景には、数学にとって本は必要不可欠な実験道具であり、その本を研究者・学生たちが直ぐ手に取れるよう、研究室近くにどうしても図書室が必要だったことがあります。学生が多くの研究文献に触れられる環境をつくるために学術雑誌・研究論文集の収集にも力を注ぎ、数学科の教員が収集した資料は個人研究室ではなく図書室に集め共有してきました。数学の世界において、一度証明された事象は新しい論理が発見されない限り覆されないため、たとえ100年前の研究結果でも価値は失われません。そのため研究者たちは自らの研究成果を書物に記し、後世に残します。そして後に続く研究者たちは先人たちが残した数々の文献を参考にして数学の研究を行っていくのです。

現在四谷キャンパスでは、3・4・8・9号館が改修工事中ですが、着工以前は4号館の5階が数学図書室の本拠地でした。つまり今市谷キャンパスにある数学図書室は仮の場所。2019年度中には四谷キャンパスに戻る予定です!
数学図書室は現在大改革中!皆さんぜひお立ち寄りください〜

2018年12月2日

上智の立ち入り禁止!~理工学部研究室に潜入~

“「潜入!上智の立ち入り禁止」”

この企画では、特定の学部やサークルに所属していない限り、一般の上智生が4年間で立ち入ることのないような場所に、上智新聞の局員が潜入取材を試みる!

このコーナーを通じて、日頃利用しているキャンパスの違う姿が見えるかもしれないぞ!

 

では、前置きはこのくらいにして、早速本題に入ろう。

あなたは「バイオハザード」と聞くと何を思い浮かべるだろうか?映画「バイオハザード」かもしれないし、地下の薄暗い廊下の先にある物々しい警告マーク…のようなイメージを持つ人も多いだろう。

 

このコーナー第1回目となる今回は、四谷キャンパス4号館地下にある、理工学部の「バイオハザード」領域に潜入するぞ!!

 

今回この研究室を案内していただくのは、物質生命理工学科の川口眞理准教授。

待ち合わせの当日、4号館の地下1階にあるというその部屋に向かう。薄暗く、地下だからか少しひんやりした廊下の奥にその部屋を見つけた。ドアの曇りガラスに遮られて部屋の中は見えず、黄色い看板に黒字で「バイオハザード」の掲示――。

 

怪しい。怪しすぎる!

調べてみると、この掲示の目的は、「組換え生物や病原菌が拡散しないよう、領域を区切り、封じ込める」ためだという。WHO(世界保健機関)は、「実験室バイオセーフティー指針」により、実験室のレベル分けに応じた安全確保の指針を示している。そこで定められたバイオセーフティーレベルは、取り扱う生物の毒性、設備の充実度などを目安に4段階に分けられているそうだ。

 

本学の生物研究施設は全て封じ込めレベルが最も低いP1レベルのもので、P2レベル以上の施設はない。本学のP1レベルの実験室では、組換え大腸菌や動植物など、ヒトが危険な目に遭う可能性の少ない生物を扱っているそうだ。ちなみに、最上級の設備が整ったP4レベルの施設はなんと、全国に2か所しかないらしい!

 

残念ながら、取材に行った日は実験室で「バイオハザード」に該当する生物や微生物を取り扱っていなかった。しかし時期によっては、大腸菌の遺伝子組換え実験など、「バイオハザード」に該当する実験も行っているそうだ。

 

では、実験室の内部に潜入!

実験室に入ると、廊下から見える2枚の扉からは想像が付かないほどの広さの空間が目に入る。

川口准教授によると、この部屋は、主に理工学部の学部生が生物実験の授業で使用するそうだ。「バイオハザード」という言葉から、危険な実験をする恐ろしい部屋を想像してしまうが、意外にも内部は中学、高校にもあったような、広くて綺麗な、普通の実験室だ。実験台が何台も並んでおり、その上には様々な器具が用意されている。授業に使う教室なので、当然黒板もあり、その日に行う実験について書かれている。

早速、授業で使っている実験道具を見せていただこう。川口准教授は、春学期の生物科学実験IIで、学部3年生の実習を担当されている。今学期の授業では、ニワトリの卵からタンパク質を取り出す実験をしているそうだ。なんだか難しそう…

 

川口准教授は室内の実験装置を順次紹介してくれた、まずは、取材日の実験で使う予定だったという、普通の市販の鶏卵。

 

「え、これが実験材料なんですか!?」

大学の理系の研究というと、劇薬!危険!というイメージを持つ方も多いと思うが、生物の実験では、私たちでも手に入れられるような、身近なものを使って実験を行うことが多いそうだ。 

上の写真の器具は、スタンドに取り付けた棒の先端が電動で回転するようになっており、容器の中の液体を撹拌するために用いられるという。いわば超高速のミキサーだ。今回は卵の白身を均一にするために使用するらしい。

 

こちらは一見普通の冷蔵庫だが、中は試薬でいっぱい!


さらに、実験材料の多くは身近な材料であるとはいえ、やはり危険な薬品が入っている棚もあった。

この「医薬用外劇物」と表示された棚は、塩酸などの薬品が保管されており、鍵がかけられている。


引き続き、様々な設備を見ていこう!

 

この箱型装置は、その名も「ドラフトチャンバー」。とても大きい!

川口准教授:「ドラフトチャンバーは、チャンバー内の実験空間と室内の空気をガラス扉で区切り、実験空間の有害な微生物や気体が実験室に拡散しないようにする排気装置です。」

 

なるほど。今度は一昔前の洗濯機のような機械を発見!これはどうやって使うのだろうか?

川口准教授:「この機械はオートクレーブといい、実験で使った菌を熱で死滅させることができます。大腸菌の遺伝子組換え実験では、この処理を行うことで、大腸菌を安全なごみとして実験室の外に持ち出せる死骸の状態にしています。」

 

川口准教授:「微生物を実験室外に流出させてしまうのは、絶対にあってはならないこと。決してやってはいけない」

他大学が、十分な処理をしないまま遺伝子組換え生物を流出させてしまい、問題となったこともあるそうだ。そのようなことがないよう、この実験室を利用する学生には事前に講習を受けさせるなど、遺伝子組換え生物を流出させないための徹底した対策を行っているそうだ。

 

今回の取材では、理工学部の学生や教員が不測の事態を防止するために、一つ一つの作業に集中しようという姿勢を覗き見ることができた!学内の多くの読者と同じく文系の記者にとっては、たくさんの実験器具や徹底した安全管理は、とても新鮮で驚くべきものに感じたぞ!

 

次回も「上智の立ち入り禁止」企画では、上智大生があまり立ち入らないあの場所やこの場所に潜入していく予定!乞うご期待!

 

(記者:山之内志織・本間歩・加藤風花)

(写真:星野雄飛)

 

2018年12月2日

芸術の秋~学生もミュージカルへ行こう!~

芸術の秋と聞いて、最初に思い浮かぶものは何だろう。絵画、音楽、映画など、私たちが楽しむことのできる芸術は数多い。しかしミュージカルには高尚で敷居が高いイメージがあり、まだ行ったことがないという人も多いのではないだろうか。今回は、購入したものの行けなくなってしまった演劇やミュージカル、コンサートなどのチケットを定価以下でやり取りできるチケット救済掲示板、「おけぴ」の管理人である山野上寛さんに話を聞いた。

 

山野上さんによると、ミュージカルの魅力は、歌声、ダンス、音楽、衣装、美術、客席の一体感のすべてが組み合わさった舞台を生で味わえることだという。「生の舞台はテレビや映画と違い、生身の人間がその場で演じているため、息遣いや視線、汗、それら全てが本物です」と山野上さん。同じ脚本、同じ出演者でも、少しのタイミングの変化やセリフの抑揚、感情の盛り上がり、客席の反応、時にはハプニングなどによって、日ごとに違った感動が生まれるという。

出演者の数が多いミュージカルでは、大勢で踊る群舞や、舞台脇での小芝居も見逃せない。自分の好きなタイミングで好きな出演者を見られるのは、視線が固定されていないミュージカルだからこそできる楽しみ方だ。観劇上級者になると、他の人のオペラグラスの向きや上げ下げのタイミングだけで、その人が誰のファンなのかわかるというのだから面白い。

 

基本的に劇中の音楽はオーケストラやバンドが生演奏をしているということもあり、ミュージカルのチケットは少し高い。しかし、当日券や学割を利用すれば手軽に楽しめる公演も数多くある。

例えば、現在帝国劇場にて上演中の「マリー・アントワネット」は、当日学生割引を使えばS席は4500円引きの9000円、A席は半額以下の4000円でチケットが手に入る。また、新国立劇場では、舞台が一部見切れるZ席が公演当日に1500円で売り出される。

 

各劇場における学割一覧

 

ミュージカルに対し、「初心者でも楽しめるのだろうか」という心配は無用であるように思う。むしろ、非日常を体感したり新鮮な発見に驚いたりと、初心者ならではの楽しみもあるのではないだろうか。ぜひ学割や当日券を利用して、劇場に足を運んでみてほしい。

2018年11月24日

上智大学からミュージカル俳優へ ~石井一孝さんの学生時代に迫る~

7月まで上演していたミュージカル『シークレット・ガーデン』に、ネヴィル役で出演していた上智大出身の石井一孝さん。

学生時代にはシンガーソングライターを目指していた石井さんは1992年、友人の勧めで応募したミュージカル「ミス・サイゴン」のオーディションに合格し舞台俳優デビュー。1993年にはディズニーアニメ『アラジン』のアラジン役(歌を担当)、その翌年には『レ・ミゼラブル』のマリウス役、TVドラマ『29歳のクリスマス』の深沢役を掴み、想像もしていなかった俳優としての道が次々と開かれていった。

そのように、本学の卒業生として輝かしい実績を築いている石井さんに、久しぶりの母校で在学時のエピソードを振り返ってもらった。

 

 

石井さんは外国語学部イスパニア語学科出身。高校時代、『スペイン子連れ留学』という小西章子さんのスペイン生活を描いたエッセイに感銘を受け、イスパニア語学科を選んだという。「インターネットもなかった時代だったから、パエーリヤって実際どんな料理かも知らなかったのに、スペインに運命的な何かを感じてね。図書館や本屋でスペイン関連の本を読み漁ったんですよ」と石井さん。そしてスペイン語が学べる大学として、上智を受験し合格した。

迎えた入学式。周りの新入生がブレザーやワンピースに身を包むなか、石井さんはなんと黄色のスキーウェアという奇天烈な格好で出席した。「今は俳優ということもあってファッションには気を遣っているけど、当時はホントに着るものに興味がなかったし、周りにどう思われるかなんて気にしない変わり者だったんだよね」。当然周囲からは「引かれた」という。

 

 

翌年のオリエンテーションキャンプで、石井さんはまさかの変貌を遂げる。元々、興味があることとないことへの態度がはっきりしている石井さん。入学当初は受験によるストレスで、その自由奔放で社交的な性格はかなりねじ曲がっていたと語る。「オリキャンでは、手つなぎ鬼とかサッカーなど興味のないレクには、周りに白い目で見られても参加したくないと主張したんです。なのに夜に開催されたイントロクイズにはすごく積極的に参加した。そしてあまりにも協調性のない僕を注意してきた上級生のヘルパーに逆切れしたんだよね。当時は心が荒んでたなあ。あの頃の自分とは友達になりたくないです 笑」。当然同級生にはドン引きされたという。

しかし授業を通して同級生との交流を深め、本来の明るくオープンな性格が開花。すっかり人気者になった石井さん。その勢いで2年生時には、同級生の推薦でまさかのヘルパーに就任。一年前は嫌がって参加しなかった手つなぎ鬼には誰よりも嬉々として参加したという。

入学後、石井さんは音楽系のサークルに所属するも、学生の思い出作りの時間を重ねることに違和感を感じすぐに辞める。プロの歌手を真剣に目指していたからだ。程なく5歳年上のプロ志向社会人達の組む金髪ロン毛ハードロックバンドに加入。

その後は、シンガーソングライターになるためにひたすら作曲とライブ活動を重ねたのだが、面白いのはもう1つ学生時代に熱を入れた「とあること」だ。なんと、石井さんは「ホフマンホールのB1にあるトレーニングルームでベンチプレスを上げること」に4年間の情熱をささげたと言う。「逆三角形の引き締まった体を手に入れ、女子にモテたかったから」という動機が学生らしい 笑。「部活動はしていなかったが、ホフマンホールで出会うラグビー部やアメフト部員、ベンチプレスのヌシとともに汗を流してたっけなあ。ベンチプレスを上げた後に、プロテインをがぶ飲みしながら食べた、ホフマンの食堂のカレーがホントおいしかった」と懐かしそうに話してくれた。ここで気になったのが「ベンチプレスのヌシ」という人物。石井さんが言うには、ベンチプレスの主とは、「明らかに学生ではないのに、なぜかホフマンのB1でベンチプレスを上げていた人物。それも平日の昼間から」だそう。また、そのヌシはベンチプレスを上げに来る学生への指導も行っていたようで、石井さん自身も最初はヌシに補助してもらいながらベンチブレスを上げたという。石井さんは四谷周辺で運送業のバイトをしていたということもあり、卒業後も25歳になるまで、ホフマンホールでベンチプレスを上げ続けたそうだ。「その時は、逆に俺が学生達にヌシって呼ばれてたかもしれない」と苦笑いした。

 

 

キャンパスの風景や学内の設備は色々変わったね。でも目をキラキラさせているソフィアンの爽やかさは変わらない」。ハラルカフェで大きなナンにかぶりつきながら、私たちに語る石井さんの瞳もキラリと輝いていた。

2018年10月11日

上智大学の今と昔

全国の大学を実際に訪れて取材し学生や学部学科の特徴をまとめた『大学図鑑!』シリーズを長年監修しているオバタカズユキさん(53)に本学の移り変わりについて聞いた。

 

【略歴】

浪人中、早稲田大学の講義に潜っていたが「マスプロ教育ばかりでつまらない」と感じ、また貧困問題に興味を持ったため、ほぼ第1志望で上智大学文学部社会福祉学科を受験した。

入学後「ちゃんと勉強しよう」と思っていたが期待と違い、在学中は主に大学外のコミュニティで様々な経験をしようと試みた。

卒業し出版社に勤めるが社風が合わずに2ヶ月で退職する。在学中にシナリオライターの弟子についたものの能力不足を感じたこともあり、どのような内容でも執筆可能なフリーライターを目指した。期間を3年と決め、その間に食べていけるようにならなかったら諦めようと考えた。

自分自身が「本当は何をやりたいのかわからない」こと自体をテーマにし、デビューできたという。以後、現在までフリーランスで仕事を行なっており、今までで日本の主要な出版社ほぼ全てと関わってきたと語った。

【昔の上智大学について】

「今って購買ある?」

小畠さんの在学時は、現在の8号館向かいの場所に「掘っ建て小屋」のような購買があったという。

本学現7号館の周囲は小さな空き地で、そこに飛び降りて亡くなる人がいたことから自殺の名所とされていた。

中央図書館はまだ真新しく、現6号館の上智会館1階がもっとも規模の大きな学食だった。

当時は卒業必要単位に148単位が必要で、かつ、チャイムが鳴れば教授が教室の扉を施錠してしまう講義も多くあった。「出席は他の大学に比べかなり厳しかったのでは」とオバタさんは振り返った。受講していた石澤良昭教授の講義では、30枚〜50枚のレポート課題が手書きで出ていたという。

また、「故・渡部昇一教授はいつも護衛のように筋骨隆々の男子学生を3人ほど連れてメインストリートを歩いていた」と話した。

現在の国際教養学部は当時比較文化学部と呼ばれ、市ヶ谷キャンパスにあった。「比文の学生が四ツ谷キャンパスに来ると、完全に別の文化の人だった。文化的多様性は当時において大変進んでいた」と振り返る。

女子のジーンズルックは現在でこそ普通だが、当時は「カジュアルすぎる」ものだった。思いを馳せてみれば、現在の本学とは施設や雰囲気が大きく異なる。

【上智生と愛校心】

「上智の卒業生の多くは大学と関わることなく生活しているが、心の中には故郷に対するような愛校心が存在している」と小畠さんは話した。

「職業上、企業の採用側の人間と多くの関わりがある。早慶と一緒には扱ってもらえず、就活でも待機や面接の部屋を分けられること少なくない。加えて上智は学生数が少なく、就職に不利と思われることもある。これは1988年から変わらない。

ただ、個人的には上智卒の編集者から仕事を振られることも多く、なんだかんだ贔屓されているのではないか」と体感を述べた。

【上智生に向けて】

 「あえて悪い評価を述べるなら、男子学生は真面目だが小粒で、女子学生は気持ちが先走って頭でっかちとのイメージがあるようだ。上智大学は小さな大学で、努力次第で頭1つ飛び出した学生になることができる。だが一方、大学だけでは世界が狭いことを忘れてはいけない。平穏にその場その場をやり過ごしていくだけでなく、自分の意見を持って、時に対立しても他者と互いの意見をぶつけ合ってほしい」。

 

 

2018年10月3日

上南戦『ここが見どころ!』

【女子テニス部】ここが見どころ!

7月6日午前9時から硬式庭球部の試合が男女ともに上智短大秦野グラウンドのテニスコートにて行われる。女子主将の石橋美波選手(外英4)に、試合に向けた意気込みを聞いた。

試合の見どころについて「上南戦は9月に行われる団体戦とともに部の重要な大会として位置づけている。団体での勝利に重点を置いて試合に臨みたい」と語った。

石橋選手は女子注目選手の一人に菊嶋梨香子選手(短大2)を挙げた。ハードヒッターとして戦績に貢献し、外部の大会でも数多く勝利を収めているという。

南山大学は部員の人数が多いため、日々の練習では新入生が試合慣れしやすいようなメニューづくりを意識したという。

石橋選手は「連覇はもちろん、プレーする選手も応援する仲間も満足できる試合をしたい。会場にいる全員で力を発揮できたら」と意気込んだ。

なお、6日の試合が延長した場合には、7日にも同会場で試合が行われる。

(本間歩)

【男子バスケットボール部】ここが見どころ!

上智大学第3体育場にて7月7日に行われる男子バスケットボール部の試合について、主将の永久保侑祐選手(理機4)に話を聞いた。

永久保選手は「速攻を主軸とした攻守の切り替えに注目してほしい。上南戦に向け、相手のディフェンスが整う前の攻撃や、コート全面でディフェンスをして相手にプレッシャーをかける練習に重点を置いた」と見どころを話した。

また、注目選手には背番号13番の飯島与喜(ともき)選手(理情3)を挙げた。「パワーフォワードとして体格を活かしつつ素早い走りで相手を翻弄する。脅威になるポイントゲッターの一人」だという。

試合への意気込みを聞くと「一昨年は勝利を収めたものの、昨年はアウェーで圧倒されてしまった。やるべきことをやって上智大学の勝利に貢献したい」と熱く語った。

(本間歩)

【ハンドボール部】ここが見どころ!

7月5日に墨田区総合体育館でオープニングゲームとして行われるハンドボール部の試合について、主将の岸田拓朗選手(総教4)に話を聞いた。

試合の見どころについて岸田選手は「ハンドボールは力強いジャンプシュートや華麗なパス、ポジションごとの駆け引きが持ち味。コートを広く使った激しい攻守の入れ替わりは初めて観戦する人も楽しめるはず」と語った。

試合は1チーム7人、30分ハーフで2セット行われる。他の競技と異なり、選手交代の回数に制限はなくタイマーも止められないという。「リーグ戦と異なり上南戦は一発勝負なので、フィジカル・能力面両方の精度を高める練習メニューになるよう心掛けた」と話す。

岸田選手は「4年生は上南戦で引退するので、必ず勝って終わりたい。南山大学は東海学生ハンドボールリーグ1部の強豪チームだが、昨年敗北したリベンジを果たし、チーム全員で喜べる試合にしたい」と意気込んだ。

(本間歩)

【女子バレーボール部】ここが見どころ!

7月7日(日)、本学第三体育場で行われる女子バスケットボール部の上南戦について、主将の山田日奈子選手に話を聞いた。

見どころ

「上智の女バスはチームディフェンスからの速攻が見どころ」と語った。注目選手を聞いたところ、岩﨑美紗子さん(情理4)と濱田綾乃さん(文史3)を挙げた。「岩﨑選手は個人技で圧倒的な強さを誇る。濱田選手は1年生の頃からポイントゲッターとして活躍している」と語った。

「上智の女バスはディフェンスなどのチームプレイを磨いている。ベンチを含めて一体感を見てほしい」と話した。

 

意気込み

「毎年接戦が多いが、今年勝利を収めるとホーム三連覇となる。チーム全体、全員で勝ちたい」と意気込んだ。

(安達理沙)

【ゴルフ部】ここが見どころ!

7月5日(金)に富士国際ゴルフ倶楽部で行われるゴルフ部の試合について、ゴルフ部男子主将の長澤敬選手(外英4)に話を聞いた。

 

見どころ

「ゴルフ部の試合は毎回会場が遠いため観戦にくるのは難しいと思うので、結果を見てほしい」と話した。「西谷正造選手(法法1)は1年生ながら大会でも活躍しており、今回の上南戦にも出場が決まってる」と上南戦の注目選手も教えてくれた。

 

意気込み

「いまゴルフ部は上南戦で3連勝中。実力ではほぼ間違いなく勝てるので、4連勝を狙いたい」と強気の発言をした。

 

なお、ゴルフ部の試合は男女混合で行われる。(田中有香)