ハラスメントのないキャンパスへ 上智大学グローバル・コンサーン研究所が報告書掲載

 上智大学グローバル・コンサーン研究所は、2019年11月25日から12月10日にかけて行われた「Raise Our Voices for EMPOWERMENT! 声をあげよう!私たちのエンパワメント」の報告書を掲載した。

 グローバル・コンサーン研究所では14年から女性・平和・安全保障についてイベントを行ってきた。19年度は「ひとりひとりがありのままに認められ、力を発揮できるキャンパスにする」 を目標に、図書館での展示やキャンパス内を行進するイベントを開催した。

 16日間にわたる図書館での展示では、メキシコのアーティスト、モニカ・メイヤー氏が実施する参加型アートプロジェクト「The Clothesline」が開かれた。主に学生を対象に、ハラスメントの経験を可視化するそれぞれ四つの問いが書かれたカードを渡し、集めたものを展示した。「ハラスメントや暴力、排除」といった直接的な言葉ではなく、「他者からされて嫌だと感じたこと、傷ついたこと」と言い換えるなど、カードの問いにはより多くの学生の声を拾うための工夫が凝らされた。

 カードは全部で833枚に上り、学生がさまざまなハラスメントを経験していることが分かった。部活・サークル内ではパワー・ハラスメントやアルコール・ハラスメントが多く、教職員から学生に対してはパワー・ハラスメントが多くなる傾向がみられた。ハラスメントへの対策について「自分を守るために抵抗すること」や「暴力を受け、排除される人をなくすために相手を尊重する」などの意見が多く寄せられた。

 「The Clothesline」を通して、大学側の対応を求める意見も出ている。加害者側が気づかないうちにハラスメントをしている場合もあり、この展示を通してより見識が深まったと感じた人もいた。

 同年12月6日にはエンパワメント・マーチが開催された。「YOU ARE NOT ALONE(あなたは一人ではない)」など四種類のプラカードを掲げて学内を行進し、性差別の問題やジェンダー観の押し付けに対して約20名の学生が声をあげた。参加した学生は「ハラスメントに対して声を上げるのはすばらしい。こういう活動ができてうれしい」と語った。

 ハラスメントや暴力の経験を可視化することで、被害者への理解を深めることにもつながる。研究所所員の田中雅子教授は、今回集まった意見を学内における支援体制の強化や啓発に活かしたいとしている。

(藤澤直樹)